2012年04月30日

連載「バイステック」〜個別化の原則その1〜

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さて本日は、先週からスタートしたバイステックの連載、第2回。

7つある「ケースワークの原則」の中の、個別化の原則について取り上げましょう。

個別化の原則について、ざっと説明すれば「人は誰しも、自らの存在を特別な一個人として認めてほしいという基本的な欲求を持っている。だから、ワーカーはその事に十分配慮して関わらなくてはいけない」というもの。

こう言われると至極当たり前の事ですが、実際の援助関係に於いては、当たり前でないことがある。

例えば、疾患別の特徴で、クライエントの人格や性格までをも分類してしまったり。
生育歴や生活歴を詳しく見ないで、今の状態だけを見て、問題や課題ばかりに目を奪われてしまう事があるからです。

もっと昔に目をやれば。

かつて、エリザベス救貧法というものがありました。
「救貧」となっていますが、その中身は実に過酷でした。

貧困者を有能貧民と無能貧民に分類して、怠惰の烙印を押されたものは者は、収容書で強制労働をさせる。
自らを助ける術を持たない、例えば病に苦しむ者は保護する、但し最低限の劣等処遇で、というものでした。
このエリザベス救貧法は、実に200年以上も継続し、生活困窮者に対する差別を助長していったのです。

簡単にいってしまえば、これが個別化と逆の発想。

社会の都合で、個人に落伍者のレッテルを貼って、一方的に分類してしまう。
非常に冷酷な“援助関係”と言えます。

現代社会では考えられない?
…残念ながら、今でもこういう“感覚はある”と思います。

例えば、生活保護や、精神科領域によく見られる、偏見やスティグマの問題は、これと同質のものです。

ケースワークの母と呼ばれたメアリ・リッチモンドは、「民主主義の初期の段階において、行政はすべての人に同じことをすることが最善の方法であると考えていた。しかし、今や我々は、社会改良を明確に意識しながら、一人ひとりの人に対して、それぞれに異なるサービスを提供し始めている」と述べています。
これすなわち、援助関係を専門職として捉える、個別化の視点。

ここで、バイステックからも「個別化」の要旨を引用しておきましょう。


クライエントを個人として捉えることは、一人ひとりのクライエントがそれぞれに異なる独自の性質を持っていると認め、それを理解することである。
また、クライエント一人ひとりがより良く適応できるよう援助する際には、それぞれのクライエントに合った援助の原則と方法を適切に使い分けることである。
これは、人はひとりの個人として認められるべきであり、単に「一人の人間」としてだけではなく、独自性を持つ「特定の一人の人間」としても対応されるべきであるという、人間の権利に基づいた援助原則である。


そう。
個別化は、人間固有の権利に基づく援助原則なのです。

単純だが奥深い。
そして、具体的に実践するのは、さらに難しい。

そこで次回は、「どんな対応をすれば、クライエントは個別化のニードを満たすことができるのか」という方法論を、焦点化してみます。
posted by メタマネ佐藤 at 19:42| Comment(0) | バイステック
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