2012年05月07日

連載「バイステック」〜個別化の原則その2〜

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月曜日は連載記事の日、ということで。
バイステックの7原則のひとつ、「個別化」の続きです。

先週は、「利用者は個人として尊重される」という事について掘り下げてみた訳ですが。
「じゃあ、どうすれば個別化に則った対応ができるのか?」という所が、今週のテーマになるわけです。

バイステックいわく、これには大きく分けて“2つの準備”がある。
ひとつが、「面談者としてのワーカー自身の準備(心構え)」。
もうひとつが、「個別的な対応をする為の実務的な準備」。

それぞれにとても深い内容ですが、今回はその一つ、「ワーカーの心構え」に触れていきます。
これらは、ワーカーとしての適切な態度や知識、能力を身に付けるための前提条件となる“資質”とでも言うべきもの。

以下にバイステックの述べる6項目を、列挙します。

1 偏見や先入観から自由になること
2 人間行動に関する知識
3 クライエントの話を聴く能力とクライエントを観る能力
4 クライエントのペースで動く能力
5 人々の感情の中に入っていく能力
6 バランスのとれたものの見方をもちつづける能力

ここでは「能力」となっていますが、むしろ求められているのは、先程にも述べたように“資質”。
例えば、5の「人々の感情の中に入っていく」とは、具体的には「クライエントが心を開きやすくなるような親しみやすさ」のことを指しています。

これらの中でも。
私が特に重要だと思うのは、1の「偏見や先入観から自由になること」ですね。
そこで、これに関する引用を、いくつか見ていきましょう。


援助がうまくいっていようと行き詰まっていようと、そこにさまざまなワーカーの動機が入り交じっていることは事実である。
だからこそ、他者を援助する上で不可欠な要素のひとつは、われわれが自分を理解し、自分自身と向き合うことである。
Gordon Hamilton 1948



人間を理解する上で必要であると指摘されてきた事柄は、面接を行うものにも当てはまる。
なぜなら、面接者も一人の人間であり、面接者も意識的な動機のみならず、無意識の動機や両価的感情、偏見をもっており、また客観的に判断して自分の行動をとることもあれば、主観的な判断に基づいて行動することもあるからである。
つまり面接者は、自分があらかじめ身に付けてきた態度を被面接者との関係にも持ち込んでしまうものであり、それによって援助関係は重大な影響を受けるのである。
また、面接者には、自分が抱いている感情は他人も同じようにもっていると捉える傾向がある。
その結果、面接者はクライエントの状況や問題に関して重大な誤解を持つことになりやすいのである。
Annette Garrett 1942


ケースワークで、課題や要因分析を進める時というのは、ある意味自らの蓄積してきた知識や経験を元に、判断していくわけです。
この時に、ある程度判断の偏りというのが起こる。
その事について無自覚であるということが、一番恐ろしいと思うのですね。

さらに、こうした状態であることを、本人が「自分で気づく」というのもなかなか難しい。
真に「偏見や先入観から自由になる」ためには、第三者からのアドバイスが受けられる「人の環境整備」が欠かせないのだ、と感じています。

ちなみに、あとの項目についてもちょっとだけ。

2と3は、その人の生活体験によって蓄えた常識のほか、心理学、医学、精神医学、社会学、哲学といった領域の知識や、面談に要する傾聴や観察、援助の全般的な技法。

4と6は、なかなか学ぼうとして身に付きにくいものですが、常に意識したり、他者からフィードバックを貰うことによってワーカー自身の“芯”を強化していくべきものだと思います。

意識して強化するには難しい項目もありますが、まずはこうした“資質”が必要だ、と言われていることを知っておくことが大切です。
その次に、それを覚えておく。
自分で説明できる。
意識して実践できる。
それを他者にも指導できる。
…というように、ステップアップしていくのが、自分でもできる「資質の強化」法ではないか、という気がいたします。

今日はとりあえずここまで。
次回は、個別化の締め括りといたしましょう。
posted by メタマネ佐藤 at 22:05| Comment(0) | バイステック
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