2012年05月21日

連載「バイステック」〜意図的な感情表出その1〜

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皆さん、今朝の金環日食は見ましたか?
写真におさめようとしたのですが、なんだかうまく行かず。
取り敢えず一番マトモだった写真をアップしておきます。

さて本日は、バイステックの連載5回目。
7原則の二つ目に入ります(ややこしいですな)。

今回取り上げる原則は、「意図的な感情表出の原則」。
なんか分かるような、分からんような感じですね。

これは要するに、「クライエントの感情表現を大切にする」ということなんです。
それも“意図的に”というのがミソですね。

私たちの生活における課題として、バイステックは「調和した情緒を維持すること」を挙げています。
ストレスの負荷は、情緒の安定を妨げるし、パーソナリティの発達を阻害したり、時には精神疾患の発現に繋がる場合もある。

当然のことではありますが、援助職は「調和のとれた情緒的生活」がクライエントにとって欠かせないものだ、という認識を持っていなくてはならない、という訳です。
バイステックの述べる基本的心理ニーズは、A. マズローの言うところの「欲求階層説」ともリンクしています。
情緒的な要件(欲求)と、社会的条件(環境)は相互作用しており、この関係調整を行うことがソーシャルワーカーの役割であり、領域であるという自覚がまずは必要でしょう。

この調整についての引用を見てみましょう。


われわれは、困難のさなかにある人々、すなわち「人生の破局の危機を情緒的に体験しているさなか」にある人々と関わるのである。
したがって、われわれは彼らがさまざまな感情を表現できるよう援助し、彼らのかかえている問題が彼らにとっていかなる意味をもっているのかを理解するよう努力すべきである。
このとき、二つのことを意識する必要がある。
ひとつは、彼らは感情を表出することによって、問題をいっそう混乱させている彼らの緊張や圧力から解放されてゆくということである。
つまり、彼らは感情を表出する経験を味わうことによって、いっそう臨機応変に、またより現実的に問題に耐え、それに取り組むことができるようになるのである。
ふたつは、われわれはクライエントが表出する感情を理解することによって、社会福祉機関を代表する者として彼らの問題を共有し、彼らを強化するために、援助関係を形成することができるということである。
Charlotte Towle,小松源助訳、「コモン・ヒューマン・ニーズ」より


平たく言えば、「クライエントの感情表出を助け、共有することは、本人の気持ちを整理することにもなるし、援助関係の形成に欠かせないものなんだ。」という認識ですね。

さらに、バイステックはこう定義します。


クライエントの感情表現を大切にするとは、クライエントが彼の感情を、とりわけ否定的感情を自由に表現したいというニードをもっていると、きちんと認識することである。
ケースワーカーは、彼らの感情表現を妨げたり、非難するのではなく、彼らの感情表現に援助という目的を持って耳を傾ける必要がある。
そして、援助を進める上で有効であると判断するときは、彼らの感情表出を積極的に刺激したり、表現を励ますことが必要である。


……どうでしょう。

なかなか「意図的な感情表出」は奥が深く、実践が難しい原則であることが伺えるのではないでしょうか。
言ってしまうと、センスが問われる領域だと思います。
「援助の」というよりは「コミュニケーションの」。
考えながら実践するというよりも、理論を知った上で感覚的に実践する、という感じでしょう。
これは個人的な捉え方ですけれども。

まず、今回はここまで。

次回以降は、「クライエントの感情表現を助ける方法」「クライエントの感情表現を制限する方法」「それに対するケースワーカーの役割」に分けて、この原則をつまびらかに見ていくこととしましょう。
posted by メタマネ佐藤 at 20:20| Comment(0) | バイステック
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