2012年05月28日

連載「バイステック」〜意図的な感情表出 その2〜

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さて、本日は第2原則「意図的な感情表出」の続き。

「援助という意図をもって、クライエントの感情表現を助ける」について取り上げます。

これはどのようなことを言うのか、どんな意味があるのかを、具体例を交えて見ていきましょう。

1、クライエントの緊張を緩和して、感情を解放することにより、課題を客観視して捉えたり、建設的な行動を起こすことができるようになる。
例)くよくよしていた気持ちを表に出したら、なんだかスッキリして頑張れそうだ。

2、クライエントの人柄や、問題の捉え方を理解することができる。
クライエントが表現する感情は、深く問題を理解するための資源として解釈するべきである。
例)自分の親だから、大事にしたいとは思っている。だけど、昔から親らしいことをしてもらったと感じていないので、あまり本人と話をしたくない。→感情を肯定し、家族の葛藤、生活史への理解を深めるツールとして、この感情表出を解釈、援助に活用する。

3、傾聴の態度を示すことによって、心理的に支えられていることをクライエントが実感できる。
クライエントは、こうした態度を感じとることで、心の負担を軽くすることができる。
例)「この人は、自分の話をよく聴いてくれている。分かってくれようとしているんだなぁ」とクライエントが実感できる。

4、クライエントの否定的な感情そのものが、問題の中核である場合がある。
こうした場合には、感情を表出することで次の段階へ進めることができる場合もある。
例)「以前と比べて、主人が話をしなくなった。私には話せないようなことを影でこそこそやっているんだわ!!」と怒る妻。実際には、そうした妻の嫉妬心や疑いの態度が攻撃となり、夫を硬直させていた。

5、感情の表現をもとにして、援助関係の段階や程度を測定する。
ワーカーが敏感で、正確な診断的思考をもって援助を進めれば、クライエントはすぐにでも個人的な事柄を話すことができ、内容も情緒的な含みを持つようになる。
例)「最初は表情が暗かったが、最近は明るく色々話してくれるようになってきたなぁ。」→ワーカーは、そうした情緒的な繋がりを評価する。

“ザッ”と言うとこんな感じです。
クライエントの感情というのは、このように援助関係において様々な意味を持つものであるので、クライエントができるだけ自由に表現できるように配慮する。
これが、「援助という意図を持って感情表出を助ける」意味。

ただ、クライエントの抱える情緒的な問題というのは時に苛烈で、ワーカー自身も対処しきれないような場合もある。
そんなわけで、次回は「援助という意図を持って感情表出を制限する」ことについて見ていきましょう。
posted by メタマネ佐藤 at 23:42| Comment(0) | バイステック
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