2012年06月24日

メタセレクション いのちつぐ みとりびと

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おはようございます。
最近あまり本の紹介をしていませんでしたので、今日は久々におすすめの本をご紹介。

今日紹介するのは、写真絵本「いのちつぐ みとりびと」です。

著者は、元戦場カメラマンの國森康弘氏。
元々は新聞記者でしたが、イラク戦争を機に独立し、以後ソマリアやスーダン、ウガンダ、ブルキナファソなどの紛争地域や貧困地域をまわり、国内では東日本大震災の取材などを重ねてきたそうです。
人々に「生死の意味を伝える写真を撮りたい」と願い、こうした場所で、社会的な啓発を願って写真を世に投げ掛けてきた國森氏。
しかし、それでは今一つリアルな手応えを感じられなかったそうです。
そしてある時、こんな話を聞く。

関東のある小学校では、「人は死んだら生き返りますか」という質問に、4割以上の子供が「はい」「生き返ることもある」と答えたそうです。
ゲームの影響か、「3回まではリセットできる」と答えた子も少なくなかった。

……命はリセットできない。
生きている限りは必ず死ぬ。
だから、僕たちは今を一生懸命生き抜いていかないといけないんだ。

そんなメッセージを子供たちに伝えるには、「凄惨な戦争の写真」よりも、当たり前にある「穏やかな死」「幸せな死」の場面を伝えるほうが実感しやすいのではないか、と考えたそうです。

この前、ラジオで國森氏がインタビューを受けていたのを聞いて、大変共感を覚えて衝動買い。

……素晴らしい。
写真だからこそ伝わるものがある。
強くそう感じた作品ですね。

舞台となっているのは、滋賀県東近江市の永源寺地区。
はっきりいって、ど田舎です。

そこで日々営まれる人々の暮らし。
地域で生まれ、地域で生きる。
それを支える人がいて、最後までそこで暮らし、旅立つ。
その旅立ちの様子を、家族の表情を交えて写真に切り取っています。

全4刊の内容を少し紹介しましょう。

第1巻は、小学生5年生の恋(れん)ちゃんが経験した初めての看取り。
92才の、おおばあちゃんとの別れの場面がテーマです。

第2巻は、生まれ育った地域で最期の時を迎えることを選んだ、ナミばあちゃんの話。
「ふるさとに帰りたい」と願ったナミばあちゃんの、あたたかな看取りの場面が写し出されています。

第3巻は、「白衣をぬいだドクター花戸」。
内科でも小児科でもなく、永源寺がぼくの専門と話す花戸医師の奮闘を描いています。

第4巻は、「いのちのバトンを受けとって」。
先祖から脈々と受け継がれる、愛情といういのちのバトン。
様々な人の看取りの場面、バトンが引き継がれていく様子を表しています。

この本を読んで思うこと。

人の死は、誰にとっても当たり前に訪れるものですが。
私たちは、その重さに堪えられず、直視することを避けてきたのではないでしょうか。
そして、子供たちにもそれを教えることなく、なんとなくぼやかしてきた為に、命を実感できない、「向き合えない」子供たちを産み出してきたのではないか、という気がするのです。

この絵本は、目を背けたくなるような場面もあります。
死の場面が、そのまま写されているからです。

「人は生き返る」と答える子供たち。
そんな中、恋ちゃんは答えました。
「人は死んでしまうと冷たくなり、二度と生き返りません。」
「でも、おおばあちゃんは私の中で生き続けます。」
posted by メタマネ佐藤 at 09:21| Comment(0) | メタセレクション
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