2012年07月02日

連載「バイステック」〜受容 その2〜

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さて、月曜日はひきつづき連載記事。
バイステックの7原則の第四原則「受容」について触れます。

前回も書きましたが、この「受容」の概念を「コレだ!」と示すことはなかなか難しい。
とりあえず、「クライエントの想いや存在を尊重して、受け止める過程」という風に、私なりに、簡略に定義づけさせて頂きましたね。

今回は、バイステックの論に戻り、「受容」の認識を深めていきましょう。

まず彼は、様々な文献を引用した上で、こう述べています。


クライエントを受け止める行為とは、
たとえば援助を目的としてクライエントを理解すること、
クライエントに敬意を払うこと、
また愛すること、
把握すること、
あるいは認識すること、
援助すること、
さらに迎えることなどである。


……う〜〜む、広い。広すぎる。
さらに、こう続きます。


すなわち、
@感知することーーまず、ケースワーカーは、自分が受け止めつつあるものを客観的に見つめなければならない。
A援助を目的として理解することーー次にケースワーカーは、それぞれの事例に於いて、いかなる原因がクライエントに影響を及ぼしているのか、またその原因がクライエントにとってどのような意味を持っているのか、さらにケースワークの目標をどこにおくべきかなどの観点から、クライエントを受け止めなければならない。
Bさらにケースワーカーは、クライエントの持つ現実を多様な角度から適切に“認識”すべきである。


つまり、@見つめて、A理解して、B認識する、という過程。
これを「受容の過程」と言っている訳ですね。

ずいぶん仰々しいように感じられるかもしれませんが、実はクライエントを受け止める行為とは、一歩踏み誤ると大変な事態を招きかねないものです。
たとえば、逸脱した態度や主義主張、あるいは行動を示すクライエントをありのままに受け止めるということは、決してその逸脱に同調し、許容することではありません。
そうした行動に際しては、それを彼らの現実の一部として認識し、「理解する」ということが必要なのです。

つまり、受け止めることと、許容することは、ノットイコール。

そうした点を踏まえて、バイステックは受容をこの様に定義つけました。


援助におけるひとつの原則である、クライエントを受け止めるという態度ないし行動は、ケースワーカーが、クライエントの人間としての尊厳と価値を尊重しながら、彼の健康さと弱さ、また好感をもてる態度ともてない態度、肯定的感情と否定的感情、あるいは建設的な態度および行動と破壊的な態度および行動などを含め、クライエントを現在のありのままの姿で感知し、クライエントの全体に関わることである。

しかし、それはクライエントの逸脱した態度や行動を許容あるいは容認することではない。
つまり、受け止めるべき対象は、「好ましいもの」(the good)などの価値ではなく、「真なるもの」(the real) であり、ありのままの現実である。

受け止めるという原則の目的は、援助の遂行を助けることである。
つまりこの原則は、ケースワーカーがクライエントをありのままの姿で理解し、援助の効果を高め、さらにクライエントが不健康な防衛から自由になるのを助けるものである。
このような援助を通じて、クライエントは安全感を確保しはじめ、彼自身を表現したり、自ら自分のありのままの姿を見つめたりできるようになる。
また、いっそう現実に即したやり方で、彼の問題や彼自身に対処することができるようになる。


前半の2つの段落は、これまでに解説した通りですね。
重要なのは3段落目のこの部分。
“この原則は、クライエントが不健康な防衛から自由になるのを助ける”という部分。

“不健康な防衛”というのは、フロイトも言うところの、いわゆる“防衛規制”のことですね。
ワーカーの受容的態度によって安全感を得て、こうした“カタイ態度”はほぐれるんですよ、ということでしょう。
多くの場合、僕たちはややこしいクライエントを前にすると、自分達の方が硬直して、逆を行ってしまいがちなんですよね。

そして、クライエント自身が、ありのままの自分を見つめて、問題解決に向けて、より現実的な対応策をとることができるようになる。
実は、これこそがバイステックの7原則の中でも、最も重要な部分。

もったいつける訳ではないのですが、内容がさらに一段深くなりますので、もう少し練り込んで、次回またお届けするということにさせて頂きましょう。
posted by メタマネ佐藤 at 22:34| Comment(2) | バイステック
この記事へのコメント
とりあえずの理解として他の原則との対比で考える(特に次の)というのも有りかと思っていますけど、失礼になるといけないのでこの辺で…
Posted by すか at 2012年07月06日 18:06
確かにそれもあると思います。
というか、その方が理解しやすいですね、実際は。
とりあえず、「意欲的に解していこう」という具合でして。
ご意見、いつもありがとうございます。
参考にさせていただきます(*^^*ゞ
Posted by メタ at 2012年07月06日 23:45
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