2012年07月09日

連載「バイステック」〜受容 その3〜

さて、本日も第4原則の受容について考えてみましょう。

前回の2回目では、バイステックがどのように受容の原則を定義しているか、というところについて見ていきました。

その中で、受容によって「クライエントは安全感を確保し、自分を見つめることができるようになる」という部分に注目すべきである、という点までが先週のお話。
この部分の解釈はぶらさずに、今日はまた違った視点から受容の意味について見ていきます。

それは、カールロジャースの唱えた、「パーソンセンタードアプローチ(クライエント中心療法)」の視点から。

ロジャースの名前は、あらゆる場所で出てきますので、ご存じのかたも多いでしょうね。
彼以前の、いわゆるカウンセリングの主流は、解釈→暗示→忠告といった、診断的、治療的なアプローチでした。
しかしロジャースは、この方法ではクライエントに不健康な依存を生じ、問題が発生する度にセラピーが必要になるため、効果的な援助方法ではない、と断じました。

ロジャースによると、「元来、人には自力で心の健康を回復させ、成長させようとする力がある」という。
パーソンセンタードアプローチでは、治療者はあまり口を挟まず、じっくりと傾聴して、その経験を理解しようと努める。
その中で、クライエントとの間にラポール(信頼関係)を形成し、安心感を得てクライエントはありのままの現実に目を向けることができるようになる。
これまでとは、ものごとの捉え方(認知)が変わり、自律的に快方に向かうという。

まぁ、ザックリいうとこんな感じでしょうか。

ロジャース曰く、心の不適応状態は、自己認知の歪みによって発生する。
つまり、こうありたい自分(理想自己)と、ありのままの自分(現実自己)のズレが、クライエントを苦しめるという訳ですね。
それを解決するには、これまで認知されなかった、あるいは歪曲されていた現実自己を、クライエント自身が受容すること。
援助者は、「クライエントが自分と向き合えるように、よき理解者となる」ということなのです。

そして私は、この視点が、先のバイステックの言わんとした受容の意味と、ピッタリ重なると感じるのです。

最後に、ロジャースのいう「援助者に必要とされる傾聴の姿勢」について述べます。
それは、自己一致(純粋性)、無条件の肯定的配慮、共感的理解の3つ。

自己一致…自分の気持ちに嘘をつかず、あるがままにいること。
無条件の肯定的配慮…良いことも悪いことも、クライエントから伝わって来ることは肯定的に受け止めること。
共感的理解…クライエントが感じている感情を、自分のことのように共感的に、理解しようとして聴くこと。

こうした態度によって、クライエントは答えを教わるのではなく、自分で答えを見つけられるようになる。
それこそが、受容の本質ではなかろうか、と私は感じるわけです。

安全感→何でも話せる信頼関係(ラポール)→現実自己の受容。
そのような効果を狙って引き出せる援助者でありたいものですね(苦笑)。
posted by メタマネ佐藤 at 22:45| Comment(0) | バイステック
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: