2012年09月03日

連載「バイステック」〜秘密保持その3〜

さて、前回に続いて、第7原則「秘密保持」です。

先週は、バイステックの言う秘密保持と、個人情報保護法に見る法的義務の違いについて、というテーマで書かせていただきました。
同時に、バイステックの生きた時代と、現代社会における秘密保持に課せられる責任と意義、という部分もクローズアップすべきかとは思いましたが、ちょっと内容的に深くなりすぎるので、私もブログで書く自信がない……といったところでして。
もうちょっと勉強できたら、その辺も考察したいとは思ってます。

さて、本日は。

“秘密保持における原則の限界”について取り上げてみましょう。

この「限界」という言葉に、違和感を感じる人もおられるかもしれません。
相談援助における秘密保持の重要性を、援助者であれば誰もが認識できる所ながらも、それが果たせない場合というのは、どのようなものが考えられるでしょう。

さっそく、具体例を交えて見ていきましょう。

1、クライエント自身のなかに葛藤がある場合
これにかかる例は、「秘密の開示にかかる葛藤」という場面があります。
例えば、排泄や認知症に関すること、病名や家族関係の葛藤などの、特に秘匿性の高い情報について、第三者に公開することにためらいがある場合などが、それにあたります。
しかし、例えばターミナル期にあるとか、現病歴に特別の配慮を要する疾患である、というような場合においては、クライエントの「知られたくない」という権利は、「最優先事項」とは必ずしもならない。
こうした場面においては、その重要度の優先順位が、他項と比較検討されることになる、という訳です。

2、他者の権利との間に葛藤がある場合
これは分かりやすいですね。
秘密にすることで、他の人が被害を被るような場合です。
そういう時には、本人の秘密保持の権利は、他者の利害と比較されることになります。

3、ソーシャルワーカーの権利との間に葛藤がある場合
これは、基本的には前述の2項と同様の意味合いになります。
ワーカーも、クライエントにとっての第三者、という部分に於いては共通ですから。
これをバイステックは「稀なケース」と記しています。
しかし、高度にプライバシーに関わる権利が確立された現代社会においては、これを稀な問題とするには違和感がありますね。

4、社会福祉機関との間に葛藤がある場合
何らかの援助を利用する、ということは、情報をある程度共有する、ということでもあります。
必要以外の情報をやり取りすべきでないとは言いつつも、何をもって必要と不必要を判断するのか、という問題は、常に付きまといます。
社会福祉機関の機能にも左右されますが、少なくとも介護領域に於いては、その必要とする情報の範囲は「極めて広い」ということになる。
それは、介護が生活全般に関わる問題である、ということと無関係ではありません。

5、社会全体との間に葛藤がある場合
言ってみれば、この点に秘密保持の限界を集約できると考えます。
秘密保持は、いつでも第三者の利害関係とのバランス調整が必要となる。
社会全体に於ける利害とは?利益とは?
そうした全体性の観点から捉えるべき葛藤であろうかと思います。

全体を通してみても、「他者との葛藤」をいかに解決してきたか、という所に着目する必要があるでしょうね。
そして、結局はクライエントに納得して頂けないもの、というのを強制することもできない。
こうしたウエットな部分にこそ、大きな勉強があるように思えましたね。

ああ、もう知らぬまに時間が来ていたようです。
続きは、又次回。
posted by メタマネ佐藤 at 23:58| Comment(0) | バイステック
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