2012年11月04日

メタセレクション 失敗学のすすめ

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大分寒い日が多くなってきましたね。
来週の日曜日は、創心会大祭り。
職員はともかくとしても、ご利用者様が寒い思いをされないように、もう少し暖かい日が続いて欲しいものだと願います。

さて、日曜日のお約束、メタセレクション。
本日は、こちら。

畑村洋太郎 著 「失敗学のすすめ」 です。

畑村先生は、機械工学の専門家。
現在は東京大学工学系研究科の教授を務めておられ、機械設計が本来の専門分野です。

「失敗は成功のもと」といいますが。
人が新しいものを作り出そうとするとき、最初は失敗から始まるのは当然のこと。
人はその失敗から学び、考えを深めて行く。

しかし、今の日本の教育現場では、「決められた設問への解を最短で出す方法、すなわち「失敗しない方法」を学ぶばかり。
これでは自分の力で考える創造力は育たない。
それこそが、日本人の欠点として諸外国から指摘されていることでもある。

つまりは、創造力を培うためには、失敗から学び、自分で課題を設定することが必要だ、と畑村先生は言います。

そして、畑村先生は、古今東西のあらゆる“失敗の事例”をひとつの学問として体系化した。
これを失敗学のすすめ、として世に出したのは、今から10年も前のこと。

今改めて当時の記事を読み返すと、「これは……」と手が止まる部分があります。

それは、失敗情報が減衰する、ということについての典型例を示す記述。
その中にあったのが、昨年の津波被害を予見するかのような内容でした。

三陸海岸を実際に歩いて見聞した、という畑村先生。
津波被害を大きくしやすいリアス式海岸であるばかりか、沖には地震の巣である日本海溝があるため、過去何度も津波による被害を受けてきた。
三陸海岸の町を注意して歩いてみると、あちらこちらに津波の石碑を見つけることができる。
これは大規模な津波が押し寄せる度につくられたもので、「ここより下には家を建てるな」という類いの言葉が刻まれた石碑も少なくない。
にも関わらず、そのすぐしたに建てられた団地。

これを畑村先生は、「日々の便利さの前には、どんな貴重な教訓も役に立たない」と嘆いていました。
そして、その10年後に、あの痛ましい震災が起きた。
なにか暗示的ですが、これは過去の教訓をいかせなかった、というだけでなく、失敗というものの持つ意味を、きちんと伝えられなかった、また失敗にはそういう「減衰する性質がある」という認識を持つことが大切であると、示しているのです。

あらゆる古今東西の失敗事例を分析し、失敗しないことよりも、どうすれば失敗を活かすことができるかに着目した「失敗学のすすめ」。

一昔前のベストセラーですけど、今読んでも十分、新しい発見が得られる、名著だと思います。
posted by メタマネ佐藤 at 17:54| Comment(0) | メタセレクション
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