2014年05月14日

職能団体に属する意味。

職能団体には、様々なものがあります。

この業界に於いて、もっとも力を持っている職能団体は、やはり医師会や看護協会等でしょう。
医師会は、医師という権力者の集まりであるし。
看護協会は、数が圧倒的に多い、現場を廻す存在ですからね。

そうした他職種の団体と同じく、私の属する介護支援専門員協会も、職能団体のひとつでして。
加入は強制ではなく、任意です。

よく聞かれるのは、「加入することのメリットって何かあるんですか?」ってこと。
「なんにもしてない団体に、年間3000円も取られるのは嫌だ」とか。
まぁ、そういう率直な意見も耳にします。

それに対して、協会に入るメリットとして打ち出しているのは。

「色んな情報が手に入りますよ」とか。
「各種研修が受けられますよ」とか。
「仲間ができて、相談相手が見つかりますよ」とか。
そんな感じです。

確かに、そういうメリットは、メリットとしてある。
が、そもそもあまり興味の無い人にとっては、「別にいいや」で終わってしまう類いのものでしょう。

だけどそういうのは、本当はごく一部の、浅〜い部分の話でしかないのです。

職能団体に所属することの意味。
それは、以下の二つに集約できると僕は思う。

まずひとつ目は、自分達の仕事、自分達の立場を守る為。
もうひとつは、世の中に対して専門職の責任を果たす為。

ずいぶん大きく出たな、と思われるかもしれませんが。
そもそも、見返りを求めて職能団体に属するという考え方自体、あまりそぐわないのです。

分かりやすく例えれば。
それは、成人しても選挙に行かない、という考え方に近い。
「どうせ行っても、何も変わらないんだから」というのは、権利を手放すと同等に、大人の義務を手放す事でもあります。

この権利と義務の関係を考えると。

専門職能の権利とは、資格に対する社会の信託です。
それが、それなりの給与水準を保証する形で現れる。
ということは、専門家としての職能が未熟であれば、保証もされないということになる。
つまり、実践の質を高める、あるいは一定水準以上に保つことが、職能に課せられた義務なのです。

それを“しない”のは個人の自由ですが。
それは同時に、自分の給料も守れないという意味になる。
こういう人は、そもそも専門職を名乗るに値しない。

そして、もうひとつ。
社会に対する責任を果たすということの意味。

それは、現場の業務の質を高めるということです。
ただそれは、あくまで個人レベルのお話。

これを職能団体という点で見れば。
現場で起きている問題を、社会に対して提起する役割を負っている、ということになります。

行政に対して働きかけたり。
他の職能団体と連携したり。
地域住民に周知したりする。
そんな時に、こうした団体の属性を“使う”ことになります。

こういう事は、個人のレベルや、所属法人のレベルでは困難なことも多い。
その道の専門家集団の総意であるから。
もしくはその中で声が上がるからこそ、耳を傾けてもらえることでもあるのです。

その“声”に説得力を持たせるものは。

行動と数の力。
「何に取り組んだか」と、「組織力」なのです。
この2つが両輪となって、世の中を動かす力となっていく。

ケアマネの資格更新や、実務研修の実施を、職能団体が行っているという事が、どんな意味を持つのかを考えてほしい。
行政に対して意見を出すときに、組織力の持つ力がどんな意味を持つのか、考えてほしい。
そして何より、介護保険制度における、介護支援専門員という仕事の持つ重要性を考えてほしい。
そういう視点に立てば、先述した「メリット」など、実に小さな事だと分かるはずです。

世の中には、その資格を名乗るためには、試験に合格するだけでなく、必ず職能団体に所属しなくてはならないという資格もある。

もちろん、団体に所属する以上は、その活動に参加することが重要ではあるのですが。
忙しくて活動に加われない人でも、団体に属することで、その活動に意味を持たせる効果はある。

はっきり言って、選挙の投票よりも、ずーーっと意味の重い行動だと思います。
だって、自分の仕事に直接関わる活動を、職能団体は行っていくわけですから。

分かりやすく言えば、職能団体の年会費というのは、資格の立場向上に対する“活動預託金”です。

「そんなの関係ない」と思う人は、「自分の給料は安くてOK」と言っているのと同じことだと、自覚してほしい。

で。

最後に言いたいのは。

僕らはみんな、仕事にプラスして、こうした活動を手弁当でやっています。
そして、他と比較して、特別に優れた人間がやっているわけでもありません。
介護支援専門員協会の、多くの活動はボランティアによって成り立っています。

正直、しんどいこともある。
それでも、日々こうした活動に取り組んでいる意味は。

この業界で働く仲間を守りたいから。
もっと質を高めて、我々の仕事が、世の中に必要であるということを証明したいから。
そして、誰もが安心して、住み慣れた我が家で老後を過ごせる世の中を作っていきたいからなのです。

そんな大事なことを、政治家だけに任せてよいのですか?
消費税の使い道は、放っておいてもきちんと適正に配分されますか?

僕が思う、職能団体に属する意味とは、そういうことなのです。
posted by メタマネ佐藤 at 22:38| Comment(4) | 日記
この記事へのコメント
技士会の役員をしていますが、技士会にメリットが無いと言われてきた身として凄く良く分かります。内容を少し転載させて頂いてもよろしいでしょうか?
Posted by ともにゃん at 2018年11月16日 19:10
ともにゃんさま
私の書いたことが、どなたかの目にとまるのはとても嬉しいです。
どうぞ、ご自由に転載してくださいませ。
Posted by メタ at 2018年11月18日 19:16
この記事をみて、大変感銘を受けました。同じ職能団体で活動する身として、この文章、転載させていただいてもよろしいでしょうか?
Posted by kazu at 2019年06月10日 18:08
kazuさま
返答遅くなってすみませんでした。
もちろん、どうぞご自由に転載してください。
職能団体の活動は、温度差が大きくてなかなか大変ですよね。
どうぞ頑張ってください。
Posted by メタ at 2019年06月26日 06:27
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